離婚したらどうなる?年金や退職金は財産分与の対象となるか?

離婚したらどうなる?年金や退職金は財産分与の対象となるか?

日本における離婚件数は、年々増え続けています。時間にすると1分30秒に1組が離婚している計算になります。

愛する人とめぐり逢い、幸せいっぱいの結婚をしたはずなのに、いつしか心が離れて・・・初めは温かい家庭だったのに、どうしてこんなことに・・・

夫婦が笑顔で一生添い遂げることができたら、それに勝る幸せはありません。離婚は、しないで済むものなら、しないに越したことはないでしょう。

それでも、さまざまな事情でどうしても離婚を決意した場合の離婚問題の中でも、特に年金や退職金は、老後の長い年月に関わってきますのでとても重要です。新しい年金分割制度は、2007年(平成19年)4月からスタートしました。

熟年離婚を考えておられる方はもちろん、離婚を決意された若い方も、離婚によって年金がどう変わるのかを知っておきましょう。

1.離婚したら年金はどうなる?財産分与の対象となるのか?

従来、離婚時の年金の扱いについては、離婚後扶養の一要素として考慮するという立場の判例が多くあったため、年金については財産分与として扱われてきました。

しかし、平成16年6月の年金に関する法律の改正により、平成19年4月から年金分割制度が施行されました。これにより、年金が財産分与の対象となるかどうかの問題はなくなり、年金分割は財産分与とは別の問題として扱うこととなりました。

2.専業主婦でも年金をもらう権利はある!?

悩む

(1)年金分割制度とは

年金分割制度は,離婚後に片方配偶者の年金保険料の納付実績の一部を分割し,それをもう片方の配偶者が受け取れるという制度です。この制度はまだ新しく平成16年に導入されました(国民年金法の一部を改正する法律)

誤解されている方も多いようですが、この制度は「厚生年金保険および共済年金の部分」に限り「婚姻期間中の保険料納付実績」を分割する制度です。国民の基礎年金である「国民年金」に相当する部分や、「厚生年金基金・国民年金基金」等に相当する部分は分割の対象にはなりませんし、また、「婚姻前の期間」の分は反映されません。さらに,将来受け取る予定の年金金額の2分の1をもらえる制度ではなく、保険料の納付実績の分割を受けるという制度ですので、その点は注意が必要です。

年金分割制度が導入された理由は、簡単に説明しますと、特に熟年離婚の場合の夫婦間の公平を実現するためです。たとえば、夫婦の片方のみが会社員として働いて収入を得て、もう片方の配偶者が専業主婦としてがんばって家事を行っていた場合を考えてみましょう。

この場合、年金保険料の支払には夫婦双方が貢献したといえるのに、夫婦の片方のみが厚生年金を全額受給できることは不公平ですよね。このように、片方の配偶者が年金保険料の支払に貢献した以上、そのいっぽう配偶者の年金受領金額に反映させることが公平であることから、この制度が導入されました。ですので、専業主婦の方でも年金をもらうことができるのです。

(2)注意!すべての年金が対象ではない

気をつけていただきたいのは、年金分割制度を利用するメリットがあるのは、あくまでも婚姻期間中に相手方が厚生年金・共済年金を自分より多く支払っていた場合のみとなります。国民年金は分割されませんので、夫が自営業者や自由業、農業従事者等の場合には、そもそも年金分割の制度を利用することができませんし、自分のほうが年金の受給額が多いのであれば、逆に年金分割を請求される立場になってしまいます。

また、年金受給を受ける本人が、原則として保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間の合計が25年以上にない場合には、年金受給資格が発生せず、せっかく年金分割をしても年金が受け取れないことになりますので注意してください。

3.年金分割する場合の手続き方法は?

年金の分割をするには、はじめに年金分割をする際の情報が詰まっている「年金分割のための情報提供通知書」という通知書を入手する必要があります。

この通知書は年金事務所で「年金分割のための情報提供請求書」という書類を提出すると入手でき、請求から手元に届くまで大体3~4週間くらいかかります。離婚前であれば請求した本人のみに通知書が送られ、離婚後であれば請求者本人と元配偶者の双方に送られます。また、原則郵送で送付されますが、離婚前で配偶者に年金分割を準備していることが知られたくないという場合は、年金事務所での窓口受取りや送付先の住所を指定することも可能です。

なお、「年金分割のための情報提供請求書」を提出するにあたっては、請求する方の本人確認書類、年金手帳、婚姻期間を確認できる書類(戸籍謄本、又は当事者それぞれの戸籍抄本)が必要となります。

「協議離婚」の場合

原則双方が年金事務所に一緒に行き、年金分割の改定請求を行います。どちらか一方が手続きをすることはできず、必ず2人一緒に行かなければなりません。必要な書類は「年金分割の合意書」、双方の戸籍謄本、双方の年金手帳が必要となります。

しかしながら、離婚した後に一緒に年金事務所に行くというのは嫌だという人も少なからずいるかと思います。その場合は、代理人が請求手続きをすることもできます。ただし、代理人が手続きをする場合でも、元夫の代理人と元妻本人、元夫本人と元妻の代理人、元夫の代理人と元妻の代理人というように必ず2人で一緒に行かなければなりません。

なお、代理人が手続きに行く場合は、必ず年金分割専用の委任状が必要となります。

このほか、協議離婚で公正証書、公証人の認証を受けた証書がある場合は、「年金分割の合意書」に代えてこれらの証書を添付すれば、2人一緒に行く必要はなく、どちらか一方が手続きすることが可能です。

「調停離婚」、「審判離婚」、「裁判離婚」の場合

調停、審判又は裁判で按分割合が決定された場合は、どちらか一方が年金事務所に行って手続きを行うことができます。その際に必要な書類は、調停等で決定された謄本、双方の戸籍謄本、年金手帳です。これで離婚時の年金分割の手続きは完了します。後日郵送で年金分割が決定した案内が年金機構から送付されてきます。

4.配偶者の扶養だった場合の、離婚後の手続き

年金は原則として20歳以上60歳未満の日本に住む人全ての国民の加入が義務づけられています。婚姻中に第3号被保険者だった人は、離婚後には第1号被保険者か第2号被保険者に変更する必要があり、就職して厚生年金や共済年金に切り替えるか国民年金の第1号となります。

もし離婚後に経済的に保険料の支払いが苦しい場合には、役所へ相談し、免除制度が利用出来ないか打診してみましょう。

第3号被保険者とは

第2号被保険者の扶養配偶者のことで、専業主婦やパート勤務されている方などのことです。因みに第2号被保険者とは、保険料が給料から天引きされているような会社員や公務員のことです。

ちなみに自営業者、農林漁業、学生などの保険料を自分で納付する方は第1号被保険者となります。

5.すでに支払われた夫の退職金や将来の退職金はどうなるのか?

考える退職金も年金と同様に、婚姻期間中のものに対しては財産分与の対象となりますが、既に支払い済みの金額と、まだ退職金が発生していない場合には考え方が異なります。

(1)すでに支払われた退職金

退職金のうち、婚姻期間に対応する部分の2分の1を請求できます。

例:勤続年数35年、婚姻期間20年、夫の退職金が800万円の場合の妻の取り分

800万(退職金)×24(婚姻期間)÷30(勤続年数)÷2(妻の取り分)=320万円

(2)将来的に支給予定の夫の退職金はどうなる?

勤続年数や退職金支給までの残存期間が影響しますので一概に言えませんが、推定される退職金支給額から婚姻期間に相当する額を算出して割合を計算します。この点については不確定な要素が多い為、話し合いによってか解決している部分が多くあります。

まとめ

さて、いかがだったでしょうか。年金の分割はすぐにできるものではなく段階を踏んでいかなければなりません。また、年金の分割は離婚が成立した日の翌日から起算して2年を経過する日までに請求手続きをしなければなりませんので注意が必要です。

通常、離婚協議をする際にあわせて年金分割の協議も行いますので、離婚の話が出たらとりあえず「年金分割のための情報通知書」を入手しておくとよいでしょう。

なお、3号分割制度は、年金手帳と双方の戸籍謄本を持っていけば情報提供通知書などを入手する必要はなく、自動的に按分割合が50%で年金分割を請求することができます。ただし、平成20年4月1日以降の国民年金第3号期間のみが対象なので分割できる期間が短く、現在のところ合意分割が主流となります。


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